小話18

※唐突に始まって特に終わりのないドランクの修羅場

 (書きたいところだけ書いた形です)

>>ドランクが告白した直後という設定でお読みください<<



「なにかの間違いじゃないのか?」

「なにかって……」

「気の迷い、とか」


その言葉はまるでとがったナイフで切り付けてくるような痛みを持っていた。

僕のことを切りつける言葉の刃は、一瞬で心臓の奥底まで届いてしまう。

その傷が致命傷にならないように必死で耐える。

口の奥からギリッと軋んだ音が静かに響いた。

スツルム殿に振り払われることなんて想定内だったじゃないか。

相手が一筋縄ではいかないなんてわかっていたじゃないか。

今更こんなことで狼狽えてどうする。

それでも、僕の気持ちを真っ向から否定するとは思ってなかった。


「間違いなんかじゃないよ」


僕はいつもの明るさを引っ込めて、いつもの笑顔を仕舞って、

ゆっくりと一回瞬きをしてからスツルム殿の目を見据えた。


「なにかか錯覚させてるだけじゃないのか」

「違うよ、絶対に違う」


僕の心は揺るがない。

食い気味に否定をすると、いつもと違う様子を感じ取ったのか、

スツルム殿の瞳が少し揺れているような気がした。


「この気持ちは、錯覚なんかじゃないよスツルム殿」


だっていつもまっすぐな目でスツルム殿が見てくるせいなのか、

彼女の瞳に映る僕はいつでも鮮明だった。

それが、今は少しだけぼやけて見える。

彼女の動揺を瞳が表わしているみたいだった。

それが解っているのに、僕の溢れ出る感情は止められない。


「スツルム殿の傍にいたい。スツルム殿と一緒に居たい。

君といると落ち着く。でも君といると胸が高鳴る。

スツルム殿が見えないと落ち着かないし、他の人と楽しそうにしてるともやっとしちゃう。

僕だけを見てて欲しいんだ…っ」


ついには顔を伏せてその瞳は僕のことを視界に映すことをやめた。

その行動に、僕の感情はまた揺れ動く。


「こんなに激しい感情が間違いなら、この気持ちが恋じゃないなら、愛じゃないなら、

この気持ちが違うなら、僕は一生それの答えが見つからないと思う」


僕が言葉を終えてもスツルム殿はこちらを向いてくれない。

二人の間に沈黙が流れる。僕の体の中には心臓の音が響いていた。


「……………なのか?」

「……え?」

「この気持ちは、恋、なのか?お前に対する、この感情は……」


想定外すぎる言葉に、僕は呼吸をすることを忘れて固まった。

この気持ち?どういう事?スツルム殿は一体何を言っているのか。

僕のこの感情は"恋"だ。それが、もしもスツルム殿の中にもあるとしたら——?

駆け巡る思考の波は一つの答えに辿り着いて結論を出した。

もしも想像通りのことだとしたらその問いは難しすぎる。

でももしも導き出した考えが正しいとしても、僕はなんて答えればいいのか。

悩ましい僕の日々は続きそうだ。

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