小話4

『ドラフの胸には夢いっぱい』の後、恋人じゃないって全否定されたドランクはどうするのかなと考えたドラ→→→→←←スツ。

前提としてめっちゃ好き好きアピールしているけどスルーされているドランクとしてお読みください…(そこら辺をあんまり入れる余裕がなかった)


部屋に入ると、ほのかに甘い匂いがした。

くるりと部屋を見渡せば、自分のベッドの上に置かれている一輪の花。

茎の部分にリボンがシンプルに結ばれているその花を手に取ると、鼻腔をくすぐる甘さが強くなる。出所はこれで間違いないようだった。


「…またか」


誰に言うでもない独り言がぽつりと漏れ出る。

最近、部屋に贈り物が置かれるようになった。

初めはささやかな道端で見かけるような白い花だった。

その次はピンクの花がベッドに散らばっていて(これは片付けが若干面倒だった)。

あとは紫の小さな花がいくつも実っているもの。

あぁなぜか四葉のクローバーがぽつんと置かれているときもあったな。

そして今日は…何を考えているのか赤い薔薇だ。

こんなことする奴は一人しかいない。

奴以外考えられないだろう。

だから、これはなんだ、と聞こうとはした。

今現在同室なのだ、聞くタイミングなど何度でもあった。

だが、聞くとさらりと交わして別の話題にもっていこうとする。

……だったらなんで、こんな回りくどいことをするんだ面倒くさい。

……と思ってはいたが、流石のあたしだって薔薇を見れば何となく察しが付く。

そうだとしてもなんでこんな回りくどいやり方を選ぶんだあいつは。


「……直接……言えばいいだろ、バカ」


いつもアピールだけして直接言ってこない。それに気が付いてはいるけれど、何もしないあたしも同罪か。

一緒にいるのが当たり前で、それ以上を望まなくてもいいんじゃないかと思っていたが、ついにあいつはそうではなくなったらしい。

何がきっかけか知らないけれど、踏み出すためにはあたしが譲歩するべきかまだ待つべきか。

考えるだけ無駄か。これがあいつの答えだろう。

気が付けば花を握りしめ歩き出していた。

掌が、熱い気がするのはこの薔薇の赤のせいか。

段々とその熱が体に巡っていく気がする。

その熱のまま、突っ走ってしまおう。

あいつに、この熱をぶつけるまであと少し―――。


『男なら潔く言え!黙ってこんなもの置いて行って…!』

『だって~~スツルム殿僕のこと「あいつとはそんなんじゃない!」って全否定するから~~!』

『はっ?なんで知って…』

『もっと…僕のこと意識してもらわなきゃって思って~~!』

『っ…あのな、一度しか言わないからなっ…』

『――――――』



+++++++++++++++++++++++

白い花(オシロイバナ)…あなたを想う

ピンクの花(ゴテチア)…お慕いしています

紫の花(リナリア)…私の恋を知ってください

四葉のクローバー…私のものになって

赤い薔薇…あなたを愛しています

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