小話31
ドランクが喋ってるだけのドラスツ
「ねぇねぇスツルム殿知って………
いやいや僕が全部言う前に
知らないって言いきらないでよ~。
あっ、このランチョンマット敷いてね。
これ?お昼ご飯買う前に通ったお店の人に
お薦めされて買っちゃった!
……待って待って、一応値引いて貰ったから!
お得だよ、お得!
ほらこの柄可愛いくない?
あそこの村、染め物とリンゴが
特産品なんだって。
リンゴと言えば団長さんのところの
トカゲちゃんを思い出すねぇ。
みんな元気にやってるのかな?
最近お仕事被らないから……いっだ!?
ちょっとスツルム殿!刺さないでよぉ!
はいはい、今出すからちょっと待ってね。
も~食いしん坊さんなんだから~いでぇ!
僕が落としたらスツルム殿のご飯も
なくなっちゃうんだからね!
………あっ、ごめんなさい、
これがスツルム殿の分です。
………はぁ~…僕も食ーべよっと!
いただきまーす!
……ん~!カリカリのベーコンが美味しい!
卵は隣の村から朝イチで届けて貰ってる
新鮮なものらしいよ~。
マヨネーズも手作りしてて、
色々こだわり感じるよね。
そういえば買ったお店のご夫婦、お二人とも
あの村出身なんだって。
世間話ついでに素敵な馴れ初めを
聞かせてもらってさ~。
実はね、ここで………スツルム殿?
もしかして聞いてないよね?
あー…こっちも食べたい?
………僕の一つどーぞ。
……それにしても、綺麗な景色だね~!
この場所、村の人がよくピクニックに
来るところらしいよ。
だからテーブルとベンチ設置してある
って宿の女将さんが言ってた。
確かに親子でちょっとした遠出するには
バッチリだよね、魔物も出てこないし。
僕らのお目当てはもう少し先だけど、
丁度良い場所でご飯が食べれて最高~って感じ?
こういうところで余生を過ごすのも
良さそうだよねぇ。
若者の村離れが問題になってるんだって。
まぁ都会に憧れる気持ちもわかるから
仕方ないかなぁ。
あっでも~最近売り出してるものがあって~。
………ってスツルム殿食べるの早くない?
僕まだ半分も食べてないんだけど……。
景色みながらゆっくりしようよぉ……、
いや確かに景色でお腹は膨れないけどさぁ。
あっ!僕いいもの持ってるよ~。
おまけで特製のリンゴジュース貰ったんだ!
ラベル可愛いよね~ハートを描いて
若者ウケを狙ってるんだって。
甘くて美味しいと思うから…
えっ!待ってよぉスツルム殿!
僕まだ食べ終わってないし、
これ飲みながらまっ………あーもう!
追い付けるくらいのスピードでお願いね~!?
………も~スツルム殿ってば
せっかちさんなんだからぁ………。
食べ終わるまで待ってくれてもいいのにぃ……。
折角喋りまくって引き伸ばしたのになぁ……。
………………………………………………
……はぁ…………もうちょっとだったのに」
(本文から悟れない補足↓↓↓)
村の高台で恋が実るリンゴジュースを相手に飲ませて告白を成功させるおまじないを聞いたドランクの一人喋りでした。
それとなく話そうとするのに悉くスツルム殿に邪魔されて失敗するドランク。
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